個々を大切に挑戦し続ける、松島潤平建築設計事務所に聞く一番幸せな建築のかたち|店舗デザインの新しいカタチ - SHELFY -

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2017.06.13

個々を大切に挑戦し続ける、松島潤平建築設計事務所に聞く一番幸せな建築のかたち

松島潤平建築設計事務所・松島氏

建築士を目指そうと思ったきっかけは何ですか?また影響された人などいますか?

私の父親は設計士です。父が設計した現代的な住宅と職業不詳な曽祖父が設計した古めかしい住宅がドッキングした、全体がどうなっているのか分からない家で育ちました。高校生のときにその家を取り壊すことになったのですが、そのときに初めて階段裏に部屋があったのを知ったほどです。そこはたった2畳という空間でしたが、自分の家なのに知らない場所があるという、物理的な形を超えた ”奥行きの深さ” を感じました。その時受けた感銘が今でも残っていて、’’シンプルではなく、複雑なモノ’’をつくることが好きなのだと思います。

建築学科を志望した理由は、絵を描くのが好きであったのと、幼い頃から父の作るベニヤ模型や青焼図面が好きだったからだと思います。学生時代にインターン、アルバイトをしたり、外で活動することはあまりありませんでしたが、建築学科は膨大な課題が出るうえに、学生同士の競争も激しいので、負けん気で日々没頭して取り組んでいたら、いつのまにか生業になっていたという感じです。

隈研吾建設都市設計事務所で働くことになったのは、偶然同じアパートの三部屋隣に住んでいた建築学科の先輩がそこで働いていて、その方に紹介していただいたのがきっかけです。仕事のスケールの大きさ、またスタッフが単に隈さんに憧れているのではなく、プロフェッショナルとして一人ひとりが独自のパフォーマンスを発揮していたのに魅かれました。

独立のきっかやその過程で苦労したことなどはありますか?

松島潤平建築設計事務所・松島氏

独立したきっかけは本当に神のお告げかというぐらい、よいタイミングが訪れたからです。ちょうどその時担当していた物件がいくつかあり、大体どれも数年がかりのものなのですが、その全てが同に終わったのです。しかもその時期に友人から家をつくってくれないかという依頼も舞い込んできて、奇跡なのではないかと思いました(笑)

もしこのタイミングで独立をしなければ、次のチャンスは5年後10年後になる可能性があったので、勢い良く飛び出しました。

独立前と後での大きな違いは、’’選択肢を出す側から、決定をする側’’になったことですね。独立前だと、ボスに選択肢を出して判断を仰ぎ、決定してもらえば良かったのですが、独立後は全てにおいて自分が最終意志決定を下さなければなりません。一人になると中々決められなくなってしまい、プロセスに時間がかかるようになってしまいました。慣れるまでは苦労しましたね。しかしその意志決定の方法の模索こそが、建築設計において非常に重要なファクターだということに気付かされました。

松島さんのビジネス面についてお聞きします。

クライアントとの信頼関係の築き方や、ヒアリングの仕方などで、気をつけていることはありますか?

とにかく連絡を早くすることを大切にしています。先方の不安を煽らないためにも、マメな情報共有は重要ですね。

アイディアやデザインを伝えるツールは状況に応じて柔軟に変更するようにしています。どんなに準備に労力がかかっても、スケッチや模型など必要に応じて、相手に一番伝わりやすい形式をとることを心がけています。また、ただ伝えるだけでは相手が当事者意識を感じない時もありますので、つい口出ししたくなるようなやり取りになるように考えて共有します。やはり、クライアント・建築家・施工会社など関わった人全員が「自分が作った」と言えるようなモノを作ることが一番幸せな建築のあり方だと思うので。

コンペや設計料など、業界で問題とされている点についてはどういう風に考えていますか?

コンペに参加しようとしても、規模が大きいものほど実績が必要で、若手が参入できないのが問題だと思います。慎重になる心持ちは重々理解していますが、クライアントが実績を重視しすぎては、結局上の人たちで回してしまって、次世代が育たなくなってしまうのではないでしょうか。

また、コンペを主催する側の、開催することへの真摯さや熱意が薄いと困惑してしまいます。特に私の場合は、先述の通りクライアントに不安要素を残すのをなるべく避けたいという気持ちがあるため、コンペの際の資料やプレゼンでは、惜しみなく全てを説明するモノを作り上げます。たとえ規模が小さくても、アイデアを作り、またそれらを集めるということは膨大なマンパワーが集結する大変なことです。そういう場において、ただ気軽に大雑把な「面白いアイデアを集める機会」として、丁寧な与件づくりなり、目的の整理がなされていないままスタートを切ると、長期的に見て不幸な流れになってしまうように思います。

ただ精神論はあまり実効性がないと思っていますので、資料枚数が多いとか徹夜したとか、そういう理由で自分の提案を採用して欲しいとは思いません。

スタッフの増員や、育成方法を教えてください。

現在は2名で行っているのですが、将来的には際限を自分で設けるようなことはせず、規模拡大したいと思っています。様々なプログラムに対応できる、多様性のある大きな事務所にすることを目指しているからです。

スタッフの育成の仕方は、「メンタルが健康に保てる環境」を大切にしています。誰かにやらされているという感覚や強いプレッシャーの中で、追い詰められて仕事をしている人はたくさんいますが、それではむしろ与えられた仕事に対する自己責任がいつまでも発生しません。いち担当者でも「これは自分の作品だ」と思えるような自己使命を持つことこそが、精神衛生を健全にする秘訣です。それは一人遊びをするような感覚でも構いません。忙しくもそのような自己探求感覚を持つことが、アイデアを生む余裕をつくり、事務所全体の力になります。

また、スタッフには自分のデザインを客観視し、自分で言語化してクライアントに伝える力を身につけてほしいと思っています。事務所に所属していると、どうしてもボスがプレゼンテーションを担い、クラアントに伝えるということになりがちなため、自分自身で「この作品はどういう意味を持っているか」「それはどうすれば伝わるか」ということを考えることが少なくなってしまいます。しかし、そういった伝える訓練を怠ると、いざ自分が独立した時に茫然としてしまう可能性が大いにあると思います。

今まで手掛けたことのない分野や業態に挑戦するときはどのようなアプローチ法をとりますか?

もちろん一通りは徹底的に調べます。ただ、違う分野の物事を建築家の私たちに依頼をするということは、私たちにしかできない何かを求めていると思うのです。だから、建築設計ならではの目線を入れていくことは必ず心がけていますね。

たとえばインテリアデザインのお仕事をいただくことが増えていますが、建築家は壁の高さから机一つの厚みまで全てに統一されたルールやロジック、また全体性のある図式をつくる傾向が強いと思います。一方で、インテリアデザイナーの方は「ゴージャス」や「シンプル」など形容詞言語に対する形や素材の感覚的なアプローチを非常に研究なさっていると思います。その辺は私ももっと学んでいきたいですね。

アイデアの引き出しはどうやって増やしているのですか?

松島潤平建築設計事務所・松島氏

アイデアの引き出しを増やすことに繋がっているのかは分かりませんが、目にしたものやそのとき食べているものなど、何でもその場でWikipedia等で調べる癖があります。(笑)

調べる癖がついたのは、幼少期の体験がきっかけでした。給食でよく出る、味が単調なコッペパンが苦手でいつも途中で残していたのですが、パンの起源を図書館で調べ、それを思い出しながら食べてみたら、初めて完食できたんです。興味を持てば、その栄養(情報)をしっかり噛み砕いて体内に吸収できることを実感できた瞬間でした。

こういった雑学はアイデアの引き出しとしてはもちろん、クライアントとの会話にも役立ちますね。隈さんも雑学にとても詳しく、クライアントの話題に対して、必ずプラスアルファの情報を返して信頼を得ている姿をよく見ました。机の横の本棚には沢山のジャンルの本が並べてありました。隈研吾事務所時代、隈さんと打ち合わせをするには順番待ちの列に並んで待たなくてはいけなかったので、その間によく隈さんがアンダーラインを引きまくった本を読んで時間を潰していました(笑)

いま現在のアイデアは、その当時担当していた仕事において対峙していた、”素材”や”テクスチャ”といったテーマをより深く広く発展させていく方向で生まれています。スタッフ時に溜め込んだ疑問や欲求は、作風に大きく影響していますね。

松島さんの将来の展望をお聞きしたいと思います。

20年後の自分はど

「スタッフ1000人の事務所を目指す」 個々を大切に、挑戦し続ける松島潤平建築設計事務所・松島氏に聞く一番幸せな建築のかたち。

うなっていますか?また、目標等はありますか?

「際限なく」と言ったからには、半分冗談、半分本気でスタッフ1000人を目指しておこうかな、と (笑) できる範囲で継続していきたいという建築家やデザイナーさんもいらっしゃいますが、自分の想像が及ばない状況の方が面白いことが生み出せそうなので。大きいところにしかできないこと、大きいところだからできることってたくさんあると思います。

20年後の自分は、自分のカラーを確立させられていたらいいですね。とはいえ、長く事務所が続くと、”過去のあの作品を使いまわそう”といったように、つくったものを自己参照し始める恐れがあります。この傾向に陥るのは大変危険だと思っているのでチャレンジすることはずっと忘れたくないですね。大きくなっても老け込んだ事務所ではなく、新陳代謝が活発な事務所にしていきたいと思います。

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